同質で長さ,断面積が異なる2本の棒の衝突による応力波(ラプラス変換解)
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§応力の解
1)A1 ≦ A2 ,l1 < l2 の場合
○応力
棒の一端x = lz
= 0に大きさ1のステップ状応力を受ける長さlの他端( x = l
)自由棒の応力の無次元化時間 t = Ct
/ lに関するラプラス変換解は
であった.したがって,衝突面に大きさ1のステップ状圧縮応力を受ける棒1,2の応力の無次元化時間
t = Ct / l1に関する解は
一方,図式解法によれば,A1 ≦ A2 ,
l1 < l2ならば,棒1,2の衝突面には大きさ
で持続時間が t = 2の圧縮応力が作用する.したがって,負荷関数は
と置けるから,各棒の応力(引張)は
である.
l2 / l1
= 1.5 のときの棒2の衝突面から1/3の位置の応力 sA ,棒2中央の応力 sB および,棒1中央の応力 sC の計算結果を図式解法による結果と共に示す.
○変位速度
一端に大きさ1のステップ状圧縮応力を受ける棒の変位速度は,
であるから,無次元化時間 t = Ct
/ l に関する解は
となる.したがって,t = Ct
/ l1 に関する棒1,2の変位速度のステップ応答解は,
負荷関数は式(2)であるから,棒1の変位速度は式(4)の変位速度は下向きが正,初速度 - V0であることに注意して,
棒2の変位速度は
である.棒の中央に置ける計算結果を下図に示す.
上図を見れば,棒1の速度は最初 -V0であり応力波が1往復した後はV0 ( A2
-A1 )/ ( A1
+A2 )の一定値となる.
○運動量保存則
棒1の質量をm1 = A1
l1 E / C
2 と置けば,衝突前と衝突後棒が離れた後の運動量変化P1は
そしてこの間に棒1に加わった力積F1allは
となり,運動量変化は力積に等しい.
また,棒2の中央の変位速度は最初V0 A1 / ( A1
+A2 )となり,その後は
を交互に繰り返し,それぞれの持続時間は
である.したがって,平均速度は
である.そして,棒2に加わった力積F2allは,棒2の質量をm2 = A2
l2 E / C
2 と置いて
となり,棒2の中央位置の平均速度についてはやはり(運動量変化)=(力積)が成立する.
○任意の瞬間に於ける棒2の重心位置の速度VG2 は,その時刻に於ける棒2全体の平均速度であるから
と表せる.したがって,
一方,棒2に与えられる力積は
であるから,これの無次元化時間 t = C
t / l1 に関するラプラス変換は
となり,棒重心位置の速度に関しては全ての時間にわたって
(運動量変化)=(力積)
を満たしている. VG2 を下図に示す.重心位置の速度は,直線的に増加
t = 2 すなわち両棒が離れる時刻に に達し,以後は
のままである.
このように,棒中央の変位速度はを中心に階段状に変動するのに対し,重心位置の変位速度はランプ状に増加一定値に達した後は変動しないのは,棒のわずかな伸び縮みによって,重心の位置が棒中央から刻々とずれているためである.
2)A1 > A2 ,l1 < l2 の場合
○応力
衝突面に大きさ1のステップ状圧縮応力を受ける棒1,2の応力は上と同様式(1)であたえられる.
棒1,2の衝突面に加わる圧縮応力は,図式解法あるいはラプラス変換解より
となる2段の階段状であることがわかる.したがって,負荷関数は
であるから,各棒の応力(引張)は
である.
l1 / l2
= 2/3 , A1
/ A2 = 2のときの棒2の衝突面から1/4の位置の応力 sA ,棒2中央の応力 sB の計算結果を図式解法による結果と共に示す.
○変位速度
変位速度の解(4)と負荷関数(2')より棒1,2の変位速度は(図の下向きを正)