変断面部を通過する応力波(ラプラス変換解)
(注意:元に戻るとき,ブラウザの戻るボタンを使わないように) 

 

§ラプラス変換解

下図のようにヤング率E 縦波の伝ぱ速度Cの無限長段付棒を伝ぱする応力波を考える.棒の各部T,U,Vの断面積はそれぞれA1 , gA1 , kA1とする.
  

○図のように軸方向座標 x1 , x2 , x3 をとれば,各部でのラプラス変換解はそれぞれ次の様である.
棒Tには「応力値がs0 である応力波が -x1方向に伝ぱしている」のであるから,
  初速度はV0 = C s0 / E ,そして,初期応力が s0  
である.また,棒は半無限長なのでexp( px3 / C ) の項は無視出来るから,変位および応力のラプラス変換解は次式で与えられる.
  
一方,棒Uおよび棒Vのそれらは,未定係数 a21 , a31 , a32 を用いて,それぞれ,
  
  
となる.

○境界面12における変位の条件より,
  
  
力の釣合は
  
  

○したがって,未定定数 a11 a32 は次式で与えられる.
  

○棒の応力は
  
無次元化時間 t = C t / l に関する解は
  
なお,ラプラス変換の終値定理より,十分時間が経過した後の収束値はそれぞれ次のようになる.
  
  
 a , b はVの部分が無いとした時Tを伝ぱしてきた応力波のUとの境界面における反射率及び透過率に他ならなず,十分時間が経てば有限長であるVの部分の影響が無くなる事を示している.

 

計算例1]

○TとUの断面積が同じ,すなわち, g = 1の場合の逆変換例を下図に示す.図は棒Tのz1=1における応力sA  ,Uのz2=1における応力sB  および棒Vのz3=0.5における応力sC を求めたもので,計算点数はやや粗いがN = 128 , g = 6 での計算結果である.
 同図によれば,k = 2の場合,棒Vの断面積は棒Tのものより大きいから,sA は境界1での反射波のために一旦 s0 より大きくなった後棒V中で反射を繰り返す応力波が加算され,s0 に収束する.また, sC にはオーバーシュートが現れ振動した後静的釣合値 s0 / k に収束する.図中には図式解法による結果も細線で示してある.
 
k = 0.25 すなわち変断面部が細くなっている場合sA は境界1での反射波のために一端小さくなった後 s0 に収束する.また断面積の差が大きいので収束に時間がかかる.また, sC は単調に s0 / k に収束する.
なお,sBk の値によらず,単調に静的釣合値s0に収束する.
 また,この場合棒TとUの断面積が同じであるから,両棒の応力の収束値は入射応力値s0 に,すなわち反射が生じなかった状態に,収束する.

○TとUの断面積が異なる例として,g = 1 / 2 , k = 2 および g = 2 , k = 0.25 の場合を下図に示す

sA , sC は各部の断面積比によって必ずしも単調には増加しないが,sB は単調に増加し,中間部Vでの応力波の反射につれて,急激に静的釣合を満たす状態になる.
なお,この場合TとUの断面積が異なるので,Tの応力が入射応力値s0 に回復することはない.

 

*)
この解を,棒Tの右端が自由端の場合に適用すれば,境界条件は s( t , 0 ) =0 となるから
  
変位速度は
  
これらの逆変換はステップ関数をH( t ) として
  
となり,最初 s0 であった応力が右端からの反射波の到達によって0になり,V0であった変位速度が 2V0 になる,すなわち,無限遠方から伝ぱして来る応力波が右端で自由端反射する状態を表している.

 

戻 る