2次元のベクトル・テンソル

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  §2次元ベクトルの座標変換

  

 上図のように座標系{xyzex ey ez}z軸の回りにq 回転した座標系を{x'y'z'e'x e'y e'z}とする.ここで,q は右ねじがz方向に進む回転方向,すなわち図では反時計回り,を正とする.そうすれば,それぞれの座標系の基底ベクトルの関係は,図より,
  
  逆に
  
となる.

 したがって,これらの内積は
  
  

 そして,ベクトルの成分の座標変換公式は,V'i=gikVk であるから,
  

 

§二次元二階対称テンソルの成分の座標変換公式

  二次元2階対称テンソルは次式のように書ける.
  
マトリクス形では
  

 テンソルの座標変換公式は,T 'ij =gik gjlTkl であるから,対称性を考慮して,次のようになる
  
 半角の公式を適用すれば
  
 同様に
  
 そして,
  

  以上,まとめて再記すれば,
  
なお,T 'yy の変換式はT 'xx の変換式において,qq+p/2と置き換えたものに等しい.これは,x軸をq回転させるとx' 軸になり,さらにp/2回転させるとy' 軸となるからである.

 

§平面応力テンソル・ひずみテンソルの固有値

  Tzx=0Tzy=0Tzz=0 Txy=Tyx
のとき,不変量
  
となるから,固有方程式は
 
したがって,固有値は
 
そして,主軸は次式より得られる.
 
これの解は次のようである.
l3に対しては
  l3=0を上式に代入して
  
  これを満足する解はpx=0py=0pz=1である.
  
l1に対しては
  
  l10であるからpz=0でなけらばならない.そして,px py
  
  の解である.
  
  とおけば上式は
  
  となり,これの第1行より,py px の比は
  
  となり,これを満たす解はpx=cosq1 py=sinq1 である.
  
同様にl2に対する解は
  pz=0
  そして,
  
  したがって,
  
  
すなわち,{p1p2p3}{e1e2e3}z軸の回り反時計方向にq1 回転した座標系である.

 

§主せん断応力

 座標系{x'y'z }におけるx' y' 方向のせん断応力は,応力成分の座標変換公式より
  
これが極値となる回転角b
  
で与えられるから,
  
である.
一方,主応力軸となる回転角a は次式で与えられた.
  
したがって,
  
となり,2a 2bは直交する.
そこで,q=a-p/4におけるせん断応力をt3 とすれば,
  
また,
  
であったから,t3
  
とも書ける.

t3 は,下図(a)に示すように,z軸に平行な断面すなわち板の横断面に生ずるせん断応力であり,横断面上ではz方向のせん断応力は0である(せん断応力の共役性)

しかしながら,同図(b)(c)に示すようにz軸に平行でない断面すなわち板の斜め断面には,z方向成分を有するせん断応力が生ずる.これらのせん断応力の極値は,t3 の場合と同様に主応力差の1/2となるから,z軸をx3軸と読み替えて
  
である.なお,このよう整理すれば,前出のt3は,
  
と書ける.
以上,まとめれば,平面応力状態での主せん断応力は
  

 

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