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○ベクトルの内積
ベクトル a ,
b の内積を次の関係を満たすスカラーと定義し,( a・b )
あるいは a・b と書く.
( a・b )
= ( b・a )
,( aa + bb・c ) = a( a・c ) + b( b・c )
a2 =
( a・a )
≧ 0 等号は a =
0 のとき
ここで,a , b :スカラー, c :ベクトル
これまでに習ったベクトルの内積すなわち
( a・b ) = |a|
|b| cos q ここで q は a と b の成す角度
成分表示では
は上の定義を満たすことは明らかである.
内積の定義より,次の関係(コーシーシュワルツの不等式)が成立することがわかる.
成分で表せば
注)a2i 等は ai ai を意味する.すなわち,添え字 i が2度現れるので
a2i = ai
ai = ( ax
)2 + ( ay
)2 + ( az
)2
∵定義より
同様に
すなわち,
なお,この議論によれば,が成立するから,逆に
となる j が存在する.そこでこれをベクトル a と b の成す角度,ベクトルの大きさをと定義すれば,
内積は ( a・b ) = |a|
|b| cos q と計算出来ることになる.
このように考えれば,目に見えるベクトル以外でも内績,大きさ,角度等の定義が出来ることになる.
○テンソル積の内積,テンソルの内積
二つのテンソル積 aÄb , cÄdについて次のスカラーを得る演算を考える.
テンソル積の定義より,この演算は,ベクトルの内積の性質
*)
を満たす.
これを,テンソルに適用すれば,ei・ej = di j に注意して
したがって,ベクトルの場合と同様に考えれば
が成立するから,
とおけ,テンソルの大きさを |T|,二つのテンソル,T ,
U の成す角度を上式の
j で定義出来ることになる.
T , U が対称テンソルならば
成分で表せば,対称非対称によらず,
*) XÄY = (aaÄb + bcÄd ) と置き,f の変換を求めれば,X(Y・f ) = aa(b・f ) + bc(d・f )
これの両辺について e との内積をとれば (X・e)(Y・f ) = a(a・e)(b・f ) + b(c・e)(d・f )
すなわち,(XÄY)・(f Äe) = a(aÄb)・(f Äe) + b(cÄd )・(f Äe) となるから
(aaÄb + bcÄd )・(f Äe) = a(aÄb)・(f Äe) + b(cÄd )・(f Äe) が成立する.