モーメントの求め方と表示法
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力(並進力)のベクトルが与えられた時,それが任意点回りに及ぼすモーメントの大きさと回転軸はどのように求めればよいであろうか?
図のように,注目点Cを原点としたとき,位置ベクトルがRであるA点に並進力Pが作用しているものとする.このときPはRとPが作る x - y 平面に垂直な z 軸の回りに物体を回転させようとする.このモーメント M の大きさは,
そして,角度qを位置ベクトルRから力のベクトルPへ測り,物体の回転方向を右ねじの進む方向であらわせば,
これは,ベクトルの外積に他ならない.したがって,注目点Cから位置ベクトルRの位置に作用する並進力PがC点回りに及ばすモーメントは,回転の軸も含めてベクトルの外積
となる.
このように,モーメントもベクトルであるから,ベクトルの表示法に従えば,矢印で表せばよいが,これが回転に関するものであることを明示するために,矢印付き円弧で表示することが多い.本書では,下図のように
で,表す事にする.
下図左側は楕円付き矢印で示した例であり,回転方向は図中の青色細線の方向すなわち反時計方向であるが,右ねじをこの方向に回転させればねじ(あるいはナット)は黒矢印の方向に進み締まる.
一方,同図右側は,回転軸が紙面に垂直なので,モーメントを表すベクトルは点となる.このような場合は,回転方向を直接表す矢印付き円弧で表示する.なお,このとき,並進荷重PによるC点回りのモーメントの大きさMは
で求まる.
注)通常のねじは右回しで締まるようになっており,これを右ねじと呼ぶ.これとは反対に左に回すと締まるねじもあり,これを左ねじと呼ぶ.