応力テンソル,ひずみテンソルの意味
(注意:元に戻るとき,ブラウザの戻るボタンを使わないように)
§応力テンソル
応力テンソル,ひずみテンソルの各成分の物理的意味については,その定義と関連して示した.ここでは,成分ではなく,テンソルそのものの物理的意味について説明する.すなわち,一般に2階テンソルはベクトルを他のベクトルへ変換する線形写像であるので,これらのテンソルはどのようなベクトルを,どのようなベクトルに変換するのかを示す.
○応力テンソルs の物理的意味は次のようである.
単位法線ベクトルがnである面上の単位面積当たりの力のベクトルすなわち応力ベクトルpは
![]()
で与えられる.成分を用いて表せば*)


*)以下総和規約に基づく
上図の四面体に働くx,y,z方向の力の釣合はCABの面積をS,OBCの面積をSx,OACの面積をSy,OABの面積をSzとして,

そして,
![]()
であるから,

○ひずみテンソルe の物理的意味は次のようになる
任意の微小線素DXが変形後DX+DSとなるとすればDSは
![]()
で与えられる.ここで,

また,この微小線素DXの引張ひずみ,すなわち単位長さ当たりの伸びは次式で与えられる.**)
![]()

**)本書では総和規約を用いているが,そのときの添字i,j等の値は座標x,y,あるいはzである.したがって,∂/∂jや∂/∂iは∂/∂x,∂/∂yあるいは∂/∂zをのことである.
変位ベクトルをu=uiei,微小線素DXは変形後DX ' =DX+DSになるとすれば,
![]()
ここで,

であるから,ベクトルDXからDSへの変換は
![]()
となる.ここで,Fを変形勾配テンソルと呼ぶ.変形勾配を対称成分と反対称成分に分解すれば

となる.
さて,DXのひずみ,すなわち,単位長さ当たりの伸びは,垂直ひずみの定義より

で与えられる.そして,
![]()
であるから,結局

となる.
例えば,DXがx軸に沿った長さdsの微小線素ならば,

y軸に沿った長さdsの微小線素ならば

したがって,変化後のDX, DS=eDX +wDXの第1項は変形(伸び縮み)による変化を表す項であり,第2項は長さの変化を伴わない剛体回転による変化を表す項である.