力学的物理量は,基本となる,長さ,質量,時間の組合せから出来ておりこれらを次元と呼び,それぞれ,[L],[M],[T]で表す.それぞれの次元にはそれを表す単位があり,例えば距離については[m]メートル,質量については[g]グラム,時間については,[s]or[sec]秒などがある.まとめると次のようになる.
基本量 |
次元記号 |
単位 |
換算式 |
長さ |
[L] |
[m] メートル [mm] ミリメートル |
1[km]=1,000[m] |
質量 |
[M] |
[g] グラム |
1[kg]=1000[g] =103 [g] |
時間 |
[T] |
[sec] 秒 |
1[min]=60[sec] |
その他の物理量はこれらの次元の組合せによって得られる.
材料力学に出てくる主な物理量と次元以下に示す.
物理量 |
次元 |
単位 |
換算式 |
面積 |
長さ×長さ |
[m2] 平方メートル |
1[m2]=106 [mm2] |
体積 |
面積×長さ |
[m3] 立方メートル |
1[m3]=109[mm3] |
角度 |
注)[ ]は次元の無い量すなわち無次元 |
[ ]又は[rad]ラジアン |
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速度 |
長さ/時間 |
[m/sec] |
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角速度 |
角度/時間 |
[sec-1]又は[rad/sec] |
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加速度 |
速度/時間 |
[m/sec2] |
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力 |
質量×加速度 |
[kg・m/sec2] |
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密度 |
質量/体積 |
[kg/m3] |
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比重量 |
重量/体積 |
[kgf/m3] |
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モーメント |
力×長さ |
[Nm] |
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応力,圧力 |
力/面積 |
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ひずみ |
長さ/長さ |
[] |
1[%]=100[ ] |
エネルギー |
力×長さ |
[N・m] |
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パワー |
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[N・m/sec] [Ps] 馬力 |
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面積モーメント |
面積×長さ |
[m3],[mm3] |
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例えば,
縦1[m],横10[cm]の板の面積は1×10=10[m×cm] などとはしない
1[cm]=10-2[m]であるから1×(10×10-2)=0.1[m2](平方メートル)
あるいは
1[m]=102[cm]であるから(1×102)×(10)=1,000[cm2](平方センチ)
と表す.
また,長さ4[m]の棒が一様に2[mm]伸びた時のひずみは
e=2/4=0.5ではなくて,
1[m]=103[mm]であるから両方をメートルに換算して
e=(2×10-3)/4=0.5×10-3 =0.05%
あるいは両者をミリメートルで表して
e=2/4,000=0.5×10-3
=0.05%
としなければならない.
1[kgf]は質量1[kg]の質量が地球から(厳密には地表での)受ける引力の大きさであり,体重60[kgf]の人の質量は60[kg]である.これを式で表せば,
質量M[kg] の物体の重量はW=M・g gは重力加速度であり 約 9.8 [m/sec2]
となる.
問]重量W=50 [kgf]の物体の質量Mを求めよ.
といった問題を出すと,うっかり,
などと答える学生が多いから注意してほしい.正解は,[kgf]=[g・kg]であるから,
であり,[kgf]の単位の中に既にgが組み込まれているのである.
同様の計算例として,次の値を計算してみるとよい.
問]棒中を音が伝わる速さCは次式で与えられる.
鋼棒のヤング率はE=21,000[kgf/mm2],密度はr=7.86×10-6[kg/mm3],比重量はg=7.86×10-6[kgf/mm3],重力加速度は,g=9.8 [m/sec2]である,Cの値を,上の(a)式,(b)式両方から求めよ.
答えはいずれも 5,120
[m/sec]