断面が上下に対称ならば,図心は断面中央であるから中立軸は中央をとおる.
そして,断面二次モーメントIは,断面の高さをh,幅をb(zの関数)とすれば,
断面係数は,上下面で等しく
である.
断面が上下に非対称なときは,次の平行軸の定理を利用して,中立軸の位置,断面二次モーメントを求める.
平行軸の定理
中立軸に平行な任意のy
' 軸に関する面積モーメントおよび,断面二次モーメントをS ',I ' とすれば
ここで,eは中立軸yとy ' 軸との距離,Aは断面積
が成立する.
証明
題意より,中立軸からの距離をz,y ' 軸からの距離をzとすれば,
z=z+e
面積モーメントの定義より,
断面二次モーメントの定義より
一般に,断面二次モーメントは高さの三乗,断面係数は高さの二乗にそれぞれ比例するのに対し,面積は高さに比例する.したがって,同じ断面積ならば,面積すなわち重さが一定なのに対し,
すなわち,曲げ応力は小さくなり,有利である.このことは,
すなわち,そこに面積があっても強度上効果はないことからも推測できる.
例えば,寸法がa×b(a>b)の矩形断面の場合,aが高さとなるように配置したときと,bが高さとなるように配置した場合を比べれば,それぞれの場合の最大曲げ応力sa,sbの比は
となり,前者の曲げ強度はa/b倍となる.
また,外径Dの中実円形と,内径をくり抜いた中空円形断面を比較すれば,中空円形断面と中実断面の重量比a,曲げ強度比bは,
となり,重量が1/2になるのに対し,強度は25%の低下ですむ.