面外変形
§面外変形と面内変形
真っ直ぐでない棒は,1つの平面上ある.この棒に,棒がある平面に垂直な方向の荷重やねじりモーメントが作用すれば,変形後の棒は元の平面上にはない.このような変形を面外変形,面外変形を発生させる荷重を面外荷重とよぶ.一方,この棒に引張力や平面に垂直な軸回りの曲げモーメントが作用した場合は,変形後も棒は平面上にとどまる.このような変形を面内変形,荷重を面内荷重とよぶ.
面外荷重が作用する場合は,
○曲げモーメントとねじりモーメントが同時に発生するし,
○同じ荷重が場所によって,曲げモーメントを発生させたりねじりモーメントを発生させたりする.
例1]先端に集中荷重を受けるL字型棒丸棒
図のように直角に曲がった棒の先端Cに面外の集中荷重Pが加わる場合,横断面に生ずる内力は次のようである.
@CB間
Cからの距離がxである仮想断面Dには,図のように
曲げモーメント Mb=-Px
せん断力 F=-P が生ずる.
そして,曲げモーメントは,CB間のB点で最大値
|Mb|max=Ph
となる.
AAB間
Bからの距離がx である仮想断面Eには
曲げモーメント Mb=-Px
せん断力 F=P
ねじりモーメント MT=Ph
が生ずる.したがって,AB間のB点では
曲げモーメント Mb=0
ねじりモーメント MT=Ph
となり,同じB点でも,CB側かAB側かによって,生ずる内力,応力は異なる.
例2]先端に曲げモーメント荷重とねじりモーメント荷重を受けるL字型棒
下図のように先端Cに図のようなモーメントの荷重m1とm2を加えた場合は次のようである.
@C点のモーメント荷重m1はCにおける断面に垂直な軸回りのモーメントであるからねじり荷重として作用しているのに対し,m2は断面に平行な軸回りのモーメントであるから,曲げ荷重として作用している.
Aこの棒をCD間の断面Dで仮想切断すれば,m1,m2に釣合う内力は,
ベクトルの釣合よりそれぞれ図の方向のベクトル M1,M2である.
Bこの関係(ベクトルの釣合)はAB間の断面Eで仮想切断した場合でも同様であるから,
Eにおける内力M1,M2も全く同じベクトルになる.
ここで,M1 はD断面では断面に垂直,E断面では断面に平行であり,M2 は逆にD断面では断面に平行,E断面では断面に垂直である,したがって,
CCB間では
ねじりモーメント M1=m1 と,
曲げモーメント M2=m2
が同時に生じ,
DAB間では,
曲げモーメント M1=m1 と,
ねじりモーメント M2=m2
が同時に生じている.
以上要するに,
○仮想切断してモーメントの釣合を考える場合は,
切断面の向きには無関係にベクトルの釣合を考えねばならない.
これに対して,モーメントが曲げとして作用するのか,ねじりとして作用するのかは,そのモーメントの作用軸と断面の方向との関係で決まる.すなわち,
○モーメントが断面に垂直な軸回りに作用するのであれば,ねじりとして作用し,断面はその中心軸の回りに回転する
○モーメントが断面に平行な軸回りに作用すれば,曲げとして作用し,最初平行であった近接2断面は角度を持つように変形する.
例1]の場合棒先端Cのたわみ,たわみ角及び回転角は次のようになる.
AB間は先端に集中荷重Pを受ける片持ちはりであるから,B点のたわみは
一方,AB間はトルクT=Phのトルクでねじられてもいるので,B断面の回転角は
CB間は先端に集中荷重Pを受ける片持ちはりであるから,B点に対するC点のたわみ,たわみ角は,
そして,B断面はjB回転しているのであるから,これによるB点に対するC点のたわみ,たわみ角は
したがって,荷重点Cのたわみは
たわみ角は
また,AB間B断面の回転角は,CB間ではたわみ角になる.C点のたわみ角は,これと,CB間が先端に集中荷重を受ける片持ちはりであることによるたわみ角との和であるから,
また,CB間にはねじりモーメントは生じないので,B断面(CB間の)に対するC断面回転角はj 'C
は0であるが,AB間のB点にはたわみ角
が生じ,CB間のB断面はこの分回転する.したがって,荷重点C端の回転角j'Cは
である.