応力測定

 実機等,応力値を測定する必要がしばしばある.応力値を直接測定する方法は無いので.ひずみあるいは変形量を測定して,応力値に変換する間接的手法が用いられる.このことは,力を測定する場合も同様である(例えば,ばね秤は,ばね定数が分かっているばねの伸びあるいは縮みを測定してこれをばね定数で除して荷重値とする.)

§三方向のひずみ測定から応力を求める方法.

図のように角度が a 離れた3方向の引張ひずみを,e1 , e2 , e3 とし,e1 の方向を x それと直角方向を y とすれば,{x , y }座標系での応力成分,ひずみ成分は次式となる.
 
 応力成分はフックの法則より,
   
   
   
  a = 45゜ならば
    
  a = 60゜ならば
    

 ひずみ成分の座標変換公式より
 
であるから,これを解けば上式が得られる.

 

§ひずみゲージ

  金属細線,金属薄あるいは半導体をフェノール樹脂等の絶縁薄膜(ベース)上に格子状に接着したものがひずみゲージである.これを物体表面に接着すればその位置でのゲージ方向の垂直ひずみを容易に測定できる.
  
すなわち,ゲージを貼付した物体のゲージ方向の引張ひずみを e とすれば,ゲージ抵抗値 R の変化 DR は次式となる.
  
h はゲージ率と呼ばれ,通常の金属ゲージでは,2,半導体ゲージでは50程度である.
このゲージを,例えば,上図右のようなブリッジ回路の一辺に組み込めばブリッジ出力電圧 e
  
となるから,e を測定すれば,e がわかる.
 なお,VB はブリッジ電圧であり,ゲージの許容電流等の関係から,数 Vに限られる.e は弾性範囲では高々1/1000 であるから,e 0.5 mV500 mV 程度であり,分解能1/100の精度が要求される場合には,eの測定には数 mV 以上の分解能が要求される. 

 

§ロードセル

 荷重測定用のセンサーをロードセル(Load Cell)と呼び,弾性体にひずみゲージを貼り付け,荷重を電圧に変換するものが主として用いられる.測定する荷重の種類に応じて様々な形状のものが用いられる.

1)引張(圧縮)荷重
 
荷重が1方向の引張あるいは圧縮のみを測定する場合
図のような直径 fdの丸棒の同一断面上に
 A:荷重方向,B:円周方向 1)
 A' , B':それぞれ,A , Bと同一円周上180゜の位置2)
に同一ゲージを4枚貼付し,
 A , A' をブリッジの対向する2辺に,B , B' を残った2辺に接続すれば,3)
各ゲージに加わる引張ひずみは
  
であるから,ブリッジからの出力電圧は
  
となるから,引張荷重と電圧の関係は
  
となる.比例定数K は上式でも求まるが,実際の測定に際しては様々な誤差が生ずるので,あらかじめ分かっている荷重を加え電圧を測定して決定する.これを校正実験と呼ぶ.校正実験により得られた K の値が上式によるものと大きく異なる場合は,ひずみゲージを貼付し直す等,ロードセルを作り直す必要がある.

1)荷重方向と円周方向と2枚貼付するのは,これらをブリッジの隣り合う辺に接続して温度の影響を補償するため.

 2)同一円周上180゜の位置にもう1組貼付するのは,実際にはいくらかの曲げ荷重加わることがあるので,その影響を補償して,引張(圧縮)荷重のみを測定するためである.すなわち,曲げ荷重によるひずみは,同一断面上180゜の位置では絶対値が同じで負号が逆になるから,これによるブリッジの出力電圧は0である.

 3)A A' B B' を直列に接続し,それをさらに直列接続して電圧端子につなぐように配線しても同様の効果が得られる.ただし,この場合の引張荷重と電圧の関係は
  

2)曲げ荷重
  
y
軸回りのモーメント荷重 M が作用するとき,図のように,
 +z軸側外表x 方向にA ,円周方向に B,これと対向する-z 軸側外表に A' , B' を貼付し,
 A , B' をブリッジの対向する2辺に,A' , B を残った2辺に接続すれば,
各ゲージに加わる引張ひずみは
  
であるから,ブリッジからの出力電圧は
  
  ∴
  

 

2)トルク
  
トルクが作用する場合は,図のように
 x軸から45゜方向に A - 45゜方向に,B ,これと対向する円周上180゜の位置に同様に A' , B' を貼付し
 A , A' をブリッジの対向する2辺に,B , B' を残った2辺に接続すれば,
各ゲージに加わる引張ひずみは
  
であるから,ブリッジからの出力電圧は
  
  ∴
  
A
A' 2枚のみ貼付した場合は
  
  

3)引張荷重とトルク
以上はいずれも荷重が1つの場合である.同時に作用する複数の荷重を測定する場合はこれらを組み合わせればよい.その際に,ブリッジの数は荷重の数と同数必要となる.
 一例として,引張荷重 P トルク T が同時に作用する場合,丸棒外表の軸方向に x ,円周方向に y 軸をとった座標系におけるひずみ成分は
  
であるから,外表 x 軸から±45゜方向の引張ひずみe45 , e-45
  
  であるから,
  
したがって,
  
そこで,下図のように2)のロードセルにおいて,ひずみゲージA , A' を接続したブリッジからの出力を e45 B , B' を接続したブリッジからの出力を e-45 とすれば,
  
  
  であるから,
  
となり,二つのブリッジ出力電圧の和と差を求めれば,P , T がわかる.