タイヤ接地面の
摩擦挙動の解明とμ-Sモデルの確立

■研究背景・目的

近年、自動車の走行時におけるタイヤと路面間の摩擦係数を測定可能とするインテリジェントタイヤの開発が進められています。自動車の走行時には、路面状態だけでなく、車の走行状態に関連するスリップ率に応じて摩擦係数やタイヤの変形状態も刻一刻と変化します。そのため、インテリジェントタイヤにより測定された摩擦係数を、車両の操舵・制動制御に活用するためには、摩擦係数とスリップ率の相互関係を精度良くモデル化する必要があります。加えて、スリップ率によって、タイヤの摩擦挙動(タイヤ表面の速度や変形)がどのように変化するのかも正確に把握する必要があります。

そこで本研究では、画像の観点からタイヤトレッドの表面速度や変形を把握し、タイヤ走行時の接地面の摩擦挙動を評価することに加えて、µ-Sモデルを確立し、タイヤ接地面の状態とμ-Sモデルとの対応を解明することを目指しています。

一般的なμ-Sモデル

圧力分布解析

■タイヤ走行模擬装置

本研究では、スリップ率が調整可能かつタイヤ接地面を下部から撮影可能なタイヤ走行模擬装置を用いて実験を行っています。これにより、普段は見ることができないタイヤ接地面の真下からタイヤ表面挙動を撮影可能となりました。

実験装置

タイヤ接地面の様子

■タイヤ接地面の摩擦挙動の解明とµ-Sモデルの確立

その後、得られた撮影画像へテンプレートマッチングなどの画像処理を行い解析することで、タイヤ接地面のタイヤ表面速度や変形状態を明らかにします。加えて、撮影用カメラとフォースプレートを同期することで、タイヤ接地面の状態とμ-Sモデルとの対応を解明することができます。この対応関係を解明できれば、将来的に車両の正確な制御を実現できます。また、タイヤ側面の変形状態も考慮することで、今後はより総合的なタイヤ摩擦挙動の解析を目指しています。

タイヤ接地面の変形解析

タイヤ側面